タクシー運転手、バス運転手どっちが楽?働いてわかった“向き不向き”の分かれ道

会社選び・比較・将来性

「タクシー運転手とバス運転手、どっちが楽なんですか?」

これ、運転業界にいたら一度は聞かれる質問です。
でも正直、“楽”の意味って、人によってぜんぜん違うんですよね。

自由な働き方ができるタクシー、安定感があるバス。
どちらにも魅力があって、どちらにも“しんどさ”がある。

僕は実際に、タクシーもバスも乗務してきました。
だからこそ言える、「ほんとの違い」があります。

この記事では、勤務スタイル・人間関係・やりがい・収入などを現場目線で比較しながら、どんな人がどっちに向いているのかについて、体験をもとに書いていきます。

「転職したいけど迷ってる」「運転の仕事に興味がある」「どっちが自分に合ってるのか知りたい」
そんなあなたに、少しでもヒントになれば幸いです。

タクシー運転手とバス運転手、そもそも何が違う?

「運転するだけでしょ?」なんて言葉を、何度か聞いたことがある。でも、タクシーとバスじゃ、まるで別の職業やと思うんです。

まず、大きく違うのは“仕事の仕組み”。
タクシーは、お客さんを「探して」「乗せて」「届ける」のが仕事。流し営業で街を走るか、無線やアプリ配車での呼び出しを受ける。行き先はバラバラで、毎回が“即興の旅”みたいなものです。

一方のバスは、決まった路線を時間通りに走る。「バス停で待ってるお客さんを迎えて、次のバス停で降ろす」——それを正確に、安全に、繰り返す。いわば“時刻表とルールに従う仕事”です。

タクシーは1対1、バスは1対多。
タクシーは少人数の自由な移動を支える存在、バスは地域全体の「日常の足」。
使う免許も違えば、求められるスキルも違う。
タクシーには地理感覚・瞬時の判断・営業力が求められるし、バスには時間管理・安全運転・乗客全体を見る視野が欠かせません。

どちらが“上”でも“下”でもなく、まったく違う方向のプロフェッショナル。
この“スタート地点”の違いを知るだけでも、働き方や向き不向きの見方が変わってきます。

【自由vs規律】勤務スタイルの違いとそのメリット・デメリット

タクシーとバス、どっちが楽か?——と聞かれたとき、まず真っ先に浮かぶのが、この「働き方の違い」やと思います。
俺が最初に驚いたのも、「タクシーって、こんな自由なんや」ということでした。

タクシーは、基本的に“自分のペース”で動ける仕事です。
走るルートも、お客さんを拾う場所も、休憩を取るタイミングも、ある程度は自分次第。
勤務形態も多様で、昼勤・夜勤・隔日勤務と選べるところが多く、「今日は稼ぐぞ」という日もあれば、「今日はゆっくり流そう」という日もつくれる。これは確かに、精神的には楽やと感じました。

ただ、その“自由”には代償もある。
自由=放任ではないし、誰も助けてくれへん。
売上は完全に歩合制で、乗せなければ給料にならない。
「どこ走っても拾えない」「雨で全車出てて無線が鳴らない」「売上が1万円いかん」——そんな日が続くと、自由がだんだん恐怖に変わっていく。

一方、バスは“規律の中で動く”仕事です。
決まったダイヤ、決まったルート、決まった停留所。
時間どおりに走ること、安全第一で運転することが最優先で、“予定外のこと”は基本的にしません。

この安定感とルールの明確さが、バスの強みです。
「次は何をすればいいのか」「どこに行けばいいのか」で迷うことはないし、運行管理者がきちんとサポートしてくれる。
歩合制ではなく月給制が基本なので、雨でも猛暑でも売上に振り回されることはない。そういう意味では、心がぶれにくい仕事です。

ただし、規律ある仕事には、“縛られる苦しさ”もある。
1分遅れただけでクレームや上司からの指摘。
毎日がルーティンで、「自由に動きたい」「変化が欲しい」というタイプには、息苦しく感じる場面も多いかもしれません。

自由か、安定か。
裁量か、安心か。
この働き方の違いは、向き不向きに直結します。
「何を楽と感じるか」は人それぞれ。その“自分の価値観”を知るための大きな分かれ道が、この勤務スタイルなんやと思います。

【孤独vs集団】職場の人間関係、どっちがしんどい?

働くうえで、給料や仕事内容も大事やけど、「人間関係のストレス」って実はめちゃくちゃ重たいですよね。
この点でも、タクシーとバスでは真逆の空気があります。

まず、タクシー運転手は“完全に一人の世界”です。
点呼を済ませたら、車に乗って出発。
あとは夜中でも、街の隅でも、自分とメーターと、お客さんとの時間だけ。
無線が鳴るまでは誰とも話さない日もあるし、流してる間は“誰にも気を遣わなくていい”のは、正直ラクでした。

でもそれは同時に、“誰もいない”ってことでもあります。
売上が悪くても、トラブルに巻き込まれても、泣きたくなる日でも、基本的に全部一人で抱える。
たまに「誰かと一言でも話したい」と思ってしまうような、そんな夜もありました。

一方で、バスの現場は“人と交わる職場”です。
出庫前・帰庫後の点呼、休憩時間の営業所、すれ違いざまの挨拶。
同じ制服を着た仲間と日々関わるので、孤独とは無縁かもしれません。

もちろん、いい人ばかりじゃないです。
年代も性格もバラバラで、時間帯が合わずに「なんかあの人、合わんな…」という相手もいる。
でもそのぶん、「困ったときに助けてくれる」「共感してくれる人がいる」というのは、大きな支えになりました。

タクシーは“孤独の気楽さ”と“孤独の重さ”が共存する。
バスは“人の煩わしさ”と“人のあたたかさ”が両立している。
どっちがしんどいかは、ほんまに「自分がどんな人間関係を求めてるか」によるんやと思います。

「誰にも干渉されたくない」タイプなら、タクシーの孤独は武器になる。
「人と最低限でも関わっていたい」タイプなら、バスの職場は、きっと心を支えてくれる。
結局は、“一人が合うか、集団が合うか”——その性格の差が、ここで大きく出るんです。

【瞬間vs積み重ね】やりがいを感じたのは、こんな瞬間だった

正直に言えば、「やりがい」なんて、最初は考える余裕もなかった。
でも、運転手としての日々が積み重なるうちに、ふとした瞬間に「ああ、この仕事、悪くないな」と思える場面があったんです。

タクシーのやりがいは、“一瞬のドラマ”にあると思います。
ある深夜、助手席に座った中年の男性が、目的地に着く直前、小さく「ありがとうな……」って呟いた。
ただそれだけの言葉が、寒い夜にずっと響いて。
その人にとって、俺の運転が何かの救いになったんかもしれん、と思ったんです。

酔っ払いやクレームも多いけど、たまにある“名もなき感謝”や“会話の余白”。
タクシーは、たった10分でも人の人生に触れる瞬間がある。
その“偶然の重なり”こそが、俺にとってのやりがいやった気がします。

一方で、バスのやりがいは“積み重ね”にある。
毎日、同じ時間に、同じ停留所で待ってるおばあちゃんがいて、「今日もありがとう」と降り際に笑ってくれる。
毎朝、制服姿で乗ってくる高校生たちが、なんだかんだで名前を覚えてくれてたりする。
その日常が、ある日ぱたっと途切れたとき、「あの人、元気にしてるかな」と思い出す自分がいた。

決して派手やない。でも、地域の“いつもどおり”を運んでるという実感。
それはバス運転手にしか感じられない、静かで深いやりがいでした。

タクシーは、一期一会の“濃い”瞬間。
バスは、日々の積み重ねがじわじわ染みてくる“遅効性のやりがい”。
どちらも、人の暮らしに触れるという意味では同じやけど、その触れ方がまったく違うんです。

やりがいの形は一つちゃう。
心に残る一言を求めるならタクシー。
毎日コツコツ、地域に根ざした仕事をしたいならバス。
あなたの“やりがいのツボ”は、どっちに近いですか?

【収入とプレッシャー】タクシーとバス、どっちが稼げて、どっちが心折れる?

仕事を選ぶうえで、「やりがい」や「自由さ」も大事やけど、やっぱり「生活できるか?」は避けて通れない問いです。
稼げるのはどっちか。しんどいのはどっちか。
それぞれの給料事情と、そこに隠れた“心の重さ”について、正直に書いてみます。

まず、タクシー運転手。
基本的に歩合制で、売上がそのまま給料に直結します。
昼勤や夜勤、隔日勤務などのスタイルによっても違いますが、稼ぐ人は月40〜50万円超えることもあります。
特に夜勤は、深夜料金の割増や長距離客に当たることが多く、効率よく稼げるチャンスもある。

ただそのぶん、安定とはほど遠い。
閑散期、雨の日、イベントの有無、曜日……売上に左右される要素が多すぎる
「今日は3万売った」「今日は8千円しかいかなかった」なんて日々が続くと、気持ちが上下して疲れてしまう。
乗せなきゃ稼げない。その“無言のプレッシャー”が、ジワジワ心を削っていきます。

次に、バス運転手。
こちらは月給制安定した収入 平均年収は400万〜450万円

ただし、バスにもプレッシャーはあります。
それは時間と安全 1分の遅れがクレームにつながる世界で、常に時間と闘いながら、大勢の命を預かる責任。
しかも、事故があったらマスコミに名前が出る可能性もある。そういう意味では、“心が折れる重み”はまた別の形で存在します。

タクシーは、稼ぎの波に振り回される苦しさ。
バスは、規律と責任の中で心がすり減る苦しさ。
どちらも、楽して稼げる仕事じゃない。それだけは、はっきり言えます。

でも、裏を返せば、タクシーは「挑戦したい人」に向いているし、バスは「安定を求める人」に向いている
どっちが稼げるかじゃなく、どっちの“しんどさ”なら耐えられるか——それが選ぶ基準になる気がします。

経験者が感じた「向いてる人」の特徴とは?

ここまで、タクシーとバスの違いをいろいろ書いてきましたが、結局のところ大事なのは「自分に向いてるかどうか」やと思います。
じゃあ実際に、両方やってみた身として、「どんな人が向いてるか?」を、それぞれまとめてみます。

◆ タクシー運転手に向いてる人

  • 自由な働き方が好きな人
  • 自分のペースで物事を進めたい人
  • 一発逆転を狙いたい人(頑張った分だけ稼げる)
  • 営業っぽいことに抵抗がない人(お客を探す、選ばれる)
  • 一人の時間が苦にならない人
  • 夜型でも問題ない人(夜勤で稼ぐ人が多いため)
  • 接客での“間”や“空気”を読むのが得意な人

タクシーは、努力が数字に直結する分、やりがいも感じやすい反面、「誰も守ってくれない世界」でもあります。
だからこそ、自分を律せる人、変化を楽しめる人には、うってつけの仕事やと思います。

◆ バス運転手に向いてる人

  • 安定した収入や生活リズムを求める人
  • 毎日同じ仕事でも苦にならない人
  • 責任感が強く、時間やルールを守れる人
  • 安全運転を最優先にできる人
  • 地域に貢献する実感がほしい人
  • ある程度の人付き合いができる人(営業所や乗客との関わり)
  • ルーティンが安心につながる人

バスは“公共の交通手段”という責任がある分、きっちりした性格の人、地道な仕事が苦にならない人が向いています。
「安定してコツコツ」が好きな人には、ほんまに居心地のいい職場になると思います。

向いてるかどうかは、「体力がある」とか「運転が得意」だけじゃなくて、価値観や性格の“深い部分”が関係してくる。
逆に言えば、運転経験がなくても、自分の気質に合っていれば、ぜんぜんやっていける
どっちが正解、じゃなくて、「どっちが自分らしく働けるか」なんですよね。

まとめ:楽さより、“どんな疲れ方が合ってるか”で選んでほしい

「タクシーとバス、どっちが楽なん?」——何度も聞かれた問いです。
でも正直、俺はどっちも楽とは言えなかった。
それでも、どっちにも確かに「やりがい」や「居場所」はありました。

タクシーには、自由と孤独、瞬間のドラマがある。
バスには、安定と責任、日常の積み重ねがある。
どちらも、違う種類の“しんどさ”と“あたたかさ”を持っています。

だからこそ、大事なのは「どっちが楽か」じゃない。
「どんな疲れ方なら、自分は受け止められるか?」——その感覚です。

夜の街を走りながら、お客さんの吐息に触れるのが向いてる人もいれば、朝のバス停でいつもの顔を迎えるのが好きな人もいる。
稼ぎたい人も、安定したい人も、それぞれの人生があっていい。

この記事が、あなたにとって「自分はどう働きたいか?」を見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。
そしていつか、どこかの運転席から見える風景が、あなたにとって“しっくりくる居場所”になりますように。

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