「バス運転手になってみたいけど、自分みたいな未経験者でもやっていけるんやろか?」
そんな不安を抱えながら、このページにたどり着いたあなたへ。
僕は、大学卒業後、地元のバス会社で4年間、路線バスを走らせてきました。どちらも未経験からのスタートでした。
この仕事、たしかに簡単ではありません。でも、ちゃんと「育ててくれる会社」と出会えれば、未経験でも十分やっていけます。
この記事では、元運転手の視点から、未経験でも安心して働けるバス会社の見つけ方を、包み隠さずすべて書きました。
求人票では見えない“ホンネ”の部分までしっかり解説していきますので、これからバス運転手を目指すあなたの道しるべになれば嬉しいです。
1. 未経験からバス運転手になる人が増えている理由
近年、未経験からバス運転手を目指す人が明らかに増えています。これは単なる“人手不足”だけでなく、世の中の働き方や価値観の変化も背景にあるようです。
人手不足と高齢化が後押ししている
バス業界では運転手の高齢化が進み、定年退職が相次いでいます。それに加えて、若手の新規採用が追いつかず、慢性的な人手不足が全国的に問題となっています。
その結果、「未経験でもOK」「普通免許からスタート可」「免許取得費用を会社が全額負担」といった求人が急増。以前は考えられなかった“門戸の広さ”が実現されています。
免許取得支援制度の普及
大型二種免許は本来、時間も費用もかかるハードルの高い資格でした。ですが今は、多くのバス会社が「免許取得支援制度」を導入しており、採用後に教習所へ通わせてくれるケースもあります。
しかも、教習期間中に給料を支給してくれる会社もあるため、「生活を維持しながら新しい仕事にチャレンジできる環境」が整いつつあるのです。
異業種からの転職先として注目されている
コロナ禍以降、飲食・販売・物流などの業界からバス業界へ転職してくる人が増えました。共通しているのは、「次は安定した仕事をしたい」「社会に役立つ仕事がしたい」という想い。
バス運転手は公共交通機関として地域の生活を支える役割があり、その“社会的意義”に魅力を感じて飛び込む人が多くなっています。
「手に職をつけたい」世代の増加
正社員で働きたい。でも、経験も資格もない――。そんな悩みを抱える20〜40代が、「手に職がつく」「一生続けられる技術職」としてバス運転手を目指す傾向もあります。
運転技術、安全管理、接客マナーなど、一度身につければ全国どこでも活かせるスキルが得られるという点で、バス運転手は魅力的な“職業選択”になってきているのです。
僕も「未経験から始めたひとり」だった
実を言うと、僕もそうでした。倉庫作業・軽貨物を経て、31歳で地元のバス会社に転職。もちろん、最初は不安だらけ。でも、ちゃんと育ててくれる会社と出会えたから、今でも「やってよかった」と思えています。
この章を読んで、「あ、自分もいけるかも」と思えたなら、それが“第一歩”になるはずです。
2. 未経験者が選んでいいバス会社の特徴とは?
「未経験歓迎」と書いてあっても、本当に安心して働ける会社なのかどうかは別問題です。ここでは、僕自身の経験や同僚たちの声から見えてきた、“未経験者にやさしい会社”の特徴を紹介します。
1. 教習・研修制度がしっかりしている
未経験者にとって、最初にぶつかる壁は「大きな車両を扱う不安」と「接客しながらの運転というプレッシャー」。だからこそ、教官が優しく丁寧に教えてくれる会社を選ぶのが大事です。
チェックポイントは以下の通り:
- 同乗研修の期間が2週間以上ある
- 運転技術だけでなく、接客・地理・安全確認も研修に含まれている
- 指導員が固定で付き、質問しやすい雰囲気がある
2. 大型二種免許の取得支援制度が明確
「免許取得費用は全額会社負担」「取得中も日当支給あり」と明記されている会社は、未経験者を本気で育てる意思があります。
実際、僕のいた会社でも「免許取得中に月15万円支給+交通費補助」があり、生活に不安を感じることなく勉強と教習に集中できました。
3. 勤務地・配属路線が明確で選べる
営業所が複数ある会社では「どこに配属されるかわからない」ということも。ですが、安心できる会社は以下のような対応をしてくれます:
- 勤務地や配属路線を事前に説明してくれる
- 通勤距離や希望を考慮して配属先を決めてくれる
- 応援運行(別営業所へのヘルプ)が少ない
4. 現場の人間関係が良好
これ、地味だけど超重要です。運転手の仕事って、一人で車内にいる時間が長くて、孤独を感じやすい。だからこそ、「営業所に戻ったときの空気」が自分に合うかは大切です。
説明会や見学時に以下を観察してみてください:
- 挨拶が自然に交わされているか
- 指導員や先輩が笑顔で対応してくれるか
- 質問したときの対応が丁寧か
5. 勤務スケジュールや休日制度が整っている
いくら給料が高くても、「休みが不定期」「長時間拘束で休憩ほぼなし」だと、未経験者はまず体力的に持ちません。
チェックすべき項目:
- 年間休日が105日以上あるか
- 中休(午前と午後の運行の間にまとまった休憩)があるか
- 勤務シフトが1ヶ月前に確定するか
6. 「人を育てよう」という空気がある
最終的にはこれに尽きます。面接や見学のときに、「即戦力として期待します」ではなく、「一緒に育っていきましょう」という雰囲気を出してくれる会社は、長く続けやすいです。
どんなに待遇が良くても、人が雑に扱われる会社では未経験者はすぐに心が折れてしまいます。
未経験だからこそ、「育ててもらえる会社」かどうかを最優先に考えてください。それが、バス運転手としての最初の一歩を、ぐっと安心なものにしてくれます。
3. やめとけ…未経験者が避けるべきバス会社のサイン
「未経験歓迎」と書かれていても、実際に入ってみたら「話が違う…」という声は、残念ながらよく聞きます。ここでは、未経験者がとくに注意すべき“地雷バス会社”の特徴を紹介します。
1. とにかく急かしてくる会社
面接で「早く乗ってもらわないと困るんだよね」などと急かしてくる会社は、要注意。教習や研修を省略して、即戦力として扱われる可能性があります。
未経験で入社して、1週間で路線に出された…なんてケースも。焦らされても、研修内容・期間をしっかり確認しましょう。
2. 勤務地・配属が不明瞭、応援運行が多い
「採用後に配属先を決定します」「応援で他営業所に行くこともあります」と書かれている会社は、勤務の安定感に欠ける可能性があります。
営業所が変わるたびに生活リズムや路線が変わるのは、未経験者にはかなりのストレス。なるべく勤務地が固定されている会社を選びましょう。
3. 求人票の言葉遣いが怪しい
例えば以下のような文言には注意:
- 「やる気があれば大丈夫」→ 具体的な支援制度がない可能性
- 「休憩時間にとらわれない働き方ができます」→ 休憩が取れないかも
- 「体力に自信のある方歓迎」→ 拘束時間が長いか重労働の可能性
抽象的なアピールばかりで、実務の詳細が書かれていない求人は、ブラック体質を隠している可能性があります。
4. 離職率が高く、社員の定着率が悪い
「いつ見ても求人が出ている」会社には要注意です。ハローワークや求人サイトで何ヶ月も同じ会社が掲載されている場合、離職率が高いサインかもしれません。
また、ネットの口コミサイトや転職掲示板で、以下のような声が多数ある会社も避けましょう:
- 「教官が怒鳴りつけてくる」
- 「研修中に辞めた人が何人もいた」
- 「配属先がどんどん変わる」
5. 給料が高すぎるように見える会社
「月給35万円以上可能!」「未経験でも年収500万円超!」などの派手な数字には裏がある場合も。よくあるパターンは以下の通り:
- 残業・休日出勤前提の給与モデル
- 勤務日数が多く、実質休みが少ない
- 走行距離・乗客数で手当が決まる歩合制
求人票で見かけた給料と、実際の手取り額にはギャップがあることも。固定給・手当の内訳をしっかりチェックしましょう。
6. 社内ルールや職場環境が旧体質
「新人はとにかく黙って先輩の背中を見ろ」「無事故なら文句言うな」という空気がある会社も存在します。そういう職場では、新人が意見を言いづらく、孤立しやすいです。
未経験で入るなら、育てようとする姿勢のある会社を選びたい。説明会や面接での空気感を敏感に感じ取ってください。
未経験者が会社選びで失敗しないためには、「条件」だけでなく「空気感」「育成の姿勢」まで見ることが大事です。変に期待を煽る会社よりも、地味でも誠実な会社を選びましょう。
4. 給料だけで選ぶのは危険?バス会社の“落とし穴”
「月給35万円以上!」「未経験でも年収500万円可能!」
そんな求人広告に目を奪われた経験、ありませんか?
確かに、バス運転手の仕事は安定して稼げる印象があるかもしれません。でも、実際に働いてみると「思ってたんと違う…」という声も少なくないんです。
この章では、給料にまつわる“見えにくい落とし穴”をわかりやすく解説します。
1. 高収入=長時間労働の可能性
バス業界でよくあるのが、「勤務時間が長いから給料が高い」というケース。朝5時出勤、夜10時退勤。間に中休があっても、家に帰れないようなスケジュール。
つまり、稼げる分だけ“自由な時間”を犠牲にしているわけです。
✔ こんな求人に注意:
- 「月給35万円以上可(残業・深夜手当含む)」
- 「週6勤務・早朝夜間勤務あり」
- 「走行距離・乗車人数によって手当支給」
2. 基本給が低く、手当頼みの給与体系
「基本給が17万円+各種手当で35万円」といった構造になっている会社も多いです。こうなると、手当がカットされたり、運行スケジュールが変わるだけで、収入は大きく変動します。
特に新人のうちは、稼げる路線に入れなかったり、シフトも少なめになることが多いため、求人票の“上限額”だけを見て決めるのは危険です。
3. 残業代・深夜手当が明記されていない
意外と見落としがちなのが、「残業代の支給方法」。
「みなし残業制度」や「定額手当込み」の会社では、実際に長時間働いても追加の残業代が発生しないこともあります。
確認すべきポイント:
- 残業代は全額支給されるのか?
- 深夜手当の時間帯と金額は明記されているか?
- 休日出勤手当・無事故手当などの有無
4. 賞与(ボーナス)は“業績次第”が多い
「賞与年2回支給」と書かれていても、その額が実際にどれくらいなのかは別問題。会社によっては「業績次第でカット」「寸志レベル」なんてこともあります。
説明会などで、「過去3年間の支給実績」などを具体的に聞いてみると、会社の本気度が見えてきます。
5. 給料よりも“働き続けられるか”が大事
実際に僕が4年間勤めて感じたのは、「稼げるかどうかより、続けられるかどうか」のほうが何倍も大事だということ。
いくら月給が高くても、体調を崩したり、心がすり減って辞めてしまったら意味がありません。
休みの取りやすさ、人間関係、勤務の安定性……。そのすべてが「本当の報酬」だと思っています。
6. 求人票だけで決めない。実態を見に行こう
最後にアドバイス。求人票に書かれている情報は“表面上の魅力”です。本当に大切なのは、見学や面接で「この会社ならやっていけそう」と思えるかどうか。
給料だけを理由に会社を決めると、あとで後悔する可能性が高いです。
バス運転手という職業は、長く続けてこそ価値が出てくる仕事。
そのためには、自分に合った働き方ができる会社を選ぶことが、何よりも大切です。
5. 未経験者におすすめの会社タイプ【実体験ベース】
バス業界とひと口に言っても、会社によって働き方も雰囲気もまったく違います。ここでは、未経験からこの仕事を始めた僕の実体験をもとに、「ここなら安心して働ける」と感じた会社タイプを紹介します。
1. 公営・準公営バス会社|制度と安定感のバランスが抜群
市営バスや、自治体が出資する“準公営”のバス会社は、とにかく制度が整っています。研修内容が体系化されていたり、年間休日がしっかり確保されていたりと、「長く働ける仕組み」があるんです。
人事制度も透明で、キャリアアップ制度や無事故表彰など、真面目にやればやるほど報われる空気があります。
こんな人におすすめ:
「安定した環境で地道に続けたい」「真面目にコツコツやるのが好き」
2. 地元密着の中堅ローカル会社|人間味と育成力のある職場
僕が勤めていたのは、地方の中堅バス会社。ここがとても“人情”のある職場で、右も左も分からない僕を、年配の先輩たちが本当に丁寧に育ててくれました。
大企業のような制度の整備こそ不十分かもしれませんが、「困ってたら手を差し伸べてくれる」文化があります。
こういう会社では、未経験者を“育てるつもりで迎え入れてくれる”ので、現場でのびのびと成長できます。
こんな人におすすめ:
「人と関わるのが好き」「温かい職場で働きたい」「育ててもらいたい」
3. 免許取得からサポートしてくれる会社|本気で人を育てたい会社
大型二種免許を持っていない未経験者にとっては、「免許取得支援制度」があるかどうかは生命線。でも、その制度を“単なる採用手段”ではなく、“本気の育成方針”として運用している会社こそ、未経験者にとっての最適解です。
教習中の給与保障、通学スケジュールの柔軟性、卒業後のサポート体制などが整っている会社は、「人を育てる」視点がある証拠。
こんな人におすすめ:
「ゼロからじっくり始めたい」「まずは免許から取らせてほしい」
4. “生活を大事にする”会社|働きやすさ重視の文化
運転手の仕事は体力も神経も使う仕事だからこそ、「人間らしく働けるか」は非常に大事。以下のような会社は、働き続けるうえでの安心感があります:
- 週休2日制が守られている
- 勤務時間が極端に長くない
- 有休が取得しやすい
- 「家族との時間も大切に」と言ってくれる上司がいる
こういう文化は、求人票にはなかなか書かれていないので、説明会や面接での雰囲気をよく観察してください。
こんな人におすすめ:
「ワークライフバランスを重視したい」「長く穏やかに働きたい」
5. 僕が「この会社で良かった」と思えた理由
僕の働いていた会社は、大手でも公営でもありません。でも、未経験の僕を最初から「仲間」として受け入れてくれて、時間をかけて丁寧に教えてくれました。
最初は本当に不安でした。でも、教官が助手席から「おー、ええやん」と笑ってくれたあの日のこと、今でも忘れられません。
未経験でも、“自分に合った会社”を選べば、ちゃんとプロになれます。
6. 【チェックリスト】応募前に見るべき5つのポイント
ここまで読んで、「よし、応募してみようかな」と思ったあなたへ。
その一歩を踏み出す前に、ぜひ確認してほしい“5つのチェックポイント”をまとめました。
求人票や面接、会社説明会、営業所見学などで、下記の内容をしっかりチェックしておくことで、あとから「こんなはずじゃなかった…」を防ぐことができます。
1. 研修内容と期間が具体的に説明されているか?
- 同乗研修・座学・接客研修など、具体的な流れが示されているか?
- 研修期間が短すぎないか?(1~2週間で実車は危険)
- 教官や指導員がどういう体制でついてくれるのか?
ポイント:「しっかり教えてくれる」と言うだけで、具体的に中身を話さない会社は要注意。
2. 免許取得支援制度の詳細と条件
- 大型二種免許取得の費用は全額会社負担か?
- 教習中も給与・日当が支給されるか?
- 免許取得後に最低〇年勤務などの“縛り”があるか?
ポイント:「免許支援あり」とあっても、給与がゼロだったり、自費立替が必要な場合も。細かく確認しましょう。
3. 勤務地・配属路線が明確に示されているか
- どの営業所に配属されるか明確か?
- 応援運行・転勤の可能性があるか?
- 通勤距離・手段は現実的か?
ポイント:勤務地が曖昧だったり「応援に柔軟に対応できる方歓迎」とあれば、移動が多い可能性があります。
4. 勤務時間・休日・休憩時間が実態に即しているか
- 年間休日・週の勤務日数は?(105日以上が目安)
- 中休制度(午前と午後の間の休憩)はあるか?
- 有休取得率や残業時間の目安も確認できるか?
ポイント:「シフト制」だけでは実態がわかりません。勤務の一例を見せてもらいましょう。
5. 説明会・見学時の現場の雰囲気
- 社員同士の挨拶・雰囲気は明るいか?
- 質問に対して丁寧に答えてくれるか?
- 面接官が一方的ではなく“対話”してくれるか?
ポイント:「なんとなくイヤな感じがした」は重要な直感です。迷ったら一晩寝かせてから判断しましょう。
+α:口コミ・評判・離職率もチェック
可能であれば、以下のような情報も見ておきましょう:
- 転職サイト・掲示板の口コミ
- 過去3年間の離職率
- Googleマップのレビュー(意外と現場のリアルが出る)
最後に:
求人票だけで判断するのではなく、“実際に働いている自分の姿”を想像できるかどうか。それが、会社選びで一番大切なことです。
まとめ|「未経験歓迎」の言葉に甘えず、長く走れる道を選ぼう
「未経験歓迎」── この言葉、バス業界の求人ではよく見かけます。でも、その裏側にある本当の意味を見抜けるかどうかが、あなたのこれからを大きく左右します。
“未経験だからこそ育てたい”という会社もあれば、
“未経験でもいいから、とにかく人数を入れたい”という会社もある。
その違いは、求人票の奥には書かれていません。
だからこそ大事なのは、説明会での空気感、研修制度の中身、
そして「この会社で、自分は安心して走っていけるか?」という肌感覚です。
バス運転手という仕事は、車を動かすだけの仕事ではありません。
お客さんの生活や感情、時には人生そのものを運んでいる。
そんな責任ある仕事だからこそ、まずは自分自身が守られる環境であることが、何よりも大切です。
僕も、未経験からスタートしました。
最初は不安でいっぱいだったけど、ちゃんと「育ててくれる会社」と出会えたから、ここまで続けてこられました。
だから、あなたにも伝えたい。
条件に飛びつく前に、「この会社となら、長く走っていけるか?」
その視点を、どうか忘れないでください。
バスのハンドルを握る日々の中には、思っている以上にたくさんの“人間模様”があります。
そしてそれは、きっとあなたの人生にも、あたたかい風を吹かせてくれるはずです。
あなたのスタートが、まっすぐで、心地よい道につながっていますように。

コメント